御影市大新年会2009
かくして、女の子同士の試着会が始まった。

白、赤、紫…。

様々な着物が並び、目移りしてしまう。

特に喜んでいたのは乙女だった。

「何と美しい…これはこの世界の式典の時の衣装なのか?」

「そうですね、結婚式や公式の場で身につける事が多いです」

桜花が説明する。

「でも、昔はこれが普段着だった事もあるんですよ?」

黛がお気に入りの着物に袖を通しながら言った。

「何と…このような美しい衣装が普段着だったとは…娘にとっては胸躍るような話だな」

そう言う乙女が一番胸躍らせているのかもしれない。

「……」

ななみがおずおずと着物に手を伸ばし。

「……っ」

その手を引っ込める。

自分はサイズが合わない。

それに自分は『素体』として育ってきた者。

こんな着物などに縁はないと考えているのだろう。

しかし。

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