僕の父親はコックリさん
 フェイスタオルで前を隠して男湯のすりガラスを開ける。手前は洗体所になっていて、その奥に広い湯船が見える。湯船の奥の壁には富士山が描かれていた。
「ザ、銭湯って感じだな」
 妖は一番手前の椅子に座り、ボディーソープに手を伸ばす。洸平はその隣、正雄は洸平の隣に腰を落ち着けた。
「銭湯って本当に富士山の絵が描いてあるんだなぁ」
 洸平は感心したように呟いている。
「ここの銭湯は数年に1度絵が変わるらしい。今は夏の富士山が描かれているけれど、二年前は桜越しの富士山の絵だったって聞いた」
 正雄の説明に洸平が「へぇ!」と、また関心したように声を漏らす。
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