僕の父親はコックリさん
 なにか質問しなければと思ったが、言葉がうまく出てこない。震えてしまって相手に聞こえたかどうかも怪しかった。
 しかし志門はニッと白い歯をのぞかせて笑った。

「俺はキツネ。君たちが呼び出しただろ」
 キツネ。
 こっくりさん。
 嘘。まさか本当に十円玉を動かしていたっていうの?
「どうして……帰らないの?」
 紙の上の十円玉はまだ『いいえ』にとどまっている。
「だって、帰りたくないんだもん」
 まるで子供のように答えてジッと香を見つめる。香は思わず後ずさりをして志門からから離れた。
「か、帰りたくないって、どうして?」
「君のことを気に入ったから」
< 276 / 352 >

この作品をシェア

pagetop