僕の父親はコックリさん
 ゾッと背中に寒いものが這い上がってくる。死に対する恐怖がこれほどまでリアルに襲ってきたことは初めての経験だった。
 しばらく考え込んでいた男がスッと顔を上げた。笑顔は消えて、無表情になっている。
「わかった」
 その声は冷たく、そしてとても重たいものだった。
 香の心臓は早鐘を打ち、呼吸が短く浅くなっていく。今にも倒れてしまいそうになりながらも必死で両足を踏ん張って立っていた。
 次になにを言われるのだろう。もうこのまま家に帰ることはできないんだろうか。
 そう思うと自然と涙が出てきた。ジワリと視界が滲んで男の姿もにじむ。そのまま消えてくれればいいのに、男が消えることはなかった。
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