僕の父親はコックリさん
 今から十年前、この稲荷寺は人々で賑わっていた。正月には沢山の屋台が軒を連ね、老若男女が着物姿で行き交った。子供たちの数も多く、あちこちで笑い声が聞こえてくる。
 イベントを盛り上げるためのお囃子も聞こえてきていたし、まるで夜なんて永遠に来ないんじゃないかと思えるような時間が過ぎていく。
 くすくすっ。
 くすくすっ。
 そんな祭りを楽しみにしていたのは人間だけじゃなかった。この寺に祀られているキツネたちもまた楽しみにしていた。
 本殿の屋根には大小のキツネが横並びに座っていて、華やかな人々の様子を眺めていた。ときには人の姿に化けて屋台で買い物をするキツネもいた。
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