僕の父親はコックリさん
 だけどその狸の首には赤いはちまきが巻かれていて、横にはとっくりが置かれている。古い家の玄関先で見たことのある、あの作り物の狸そっくりだった。
「どこに?」
「ほら、そこ」
 もう一度指差して答えてから、妖は自分が目を細めていたことに気がついた。慌てて目を見開いて路肩を確認してみると、もう狸の姿は見えなかった。
 あれは妖怪だったんだ。
 妖怪や幽霊の姿があそこまではっきり見えたことがなかったので、現実と勘違いしてしまった。
 妖は慌てて加奈子の腕を掴んで引っ張った。
「ちょっと、どうしたの?」
「ここにはいない方がいいかもしれない」
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