僕の父親はコックリさん
 声をかけられた妖が振り向くと、同級生の加奈子が立っていた。加奈子は色白で華奢で、見た目通り病気がちでよく学校を休んでいた。そのせいで特定の友達はいなくて、教室ではいつもひとりで本を読んでいるような少女だった。
 妖は加奈子の顔を見て驚いて瞬きをする。こうして加奈子から声をかけてきたのは始めてのことだったから。
「狸がいる」
 妖がそう言って道の端を指差してみせると、加奈子は首を傾げた。
「狸なんていないじゃない」
「いるよ、そこに」
 確かに狸はそこにいた。うずくまってなにかに怯えているようにこちらを見ている。
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