あの日の風の、その続き〜戦う公爵令嬢と、王女が選んだ未来



レオンは、ロザリアを去った。



揺れる馬車の中。

懐から、一枚のハンカチを取り出す。

子供の頃、エリシアにもらったものだ。


言えなかった言葉が、胸の奥に残っている。


それでもーー


「……頑張ったんだけどな」


力なく、笑う。

その声は、わずかに震えていた。


"このハンカチ、返さなくていいからね"


幼い日のエリシアの笑顔が、消えない。


(返さなくて、いい……か)


そっと目を閉じる。


そして――


遠ざかるロザリアを、もう一度だけ振り返った。


「ありがとう」


小さく、呟く。

その言葉は、


もう届くことのない想いとともに、

静かに夜へと溶けていった。



ーーー





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