フラワーリング
「……あの。」

「あとでデザインを考えたいので、お花の写真を撮ってもいいですか?」

「もちろんです。」

そう言って橘さんが頷く。

私はバッグからスマートフォンを取り出そうとして――

「あ。」

一緒に入れていたスケッチブックが、するりと顔を覗かせた。

慌ててしまおうとすると、

「描いていきます?」

橘さんが穏やかに尋ねた。

「え?」

「せっかく実物があるので。」

「写真もいいですけど、その場で描いた方が気付くこともあると思います。」

「……でも。」

思わず店内を見回す。

「ご迷惑じゃありませんか?」

すると橘さんは店の奥を指差した。

「奥に作業台があります。」

「午後は光がよく入るので、描くならあっちの方がいいですよ。」

その一言に、思わず笑みがこぼれる。

この人も。

ものづくりをする人なんだ。

「……ありがとうございます。」
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