フラワーリング
「あっ。」
同時にしゃがむ。
伸ばした手が重なった。
一瞬。
指先が触れる。
……違う。
今日は、触れただけじゃなかった。
そっと。
橘さんの指が、私の指に重なる。
絡まる指先に、思わず息をのむ。
「じゃあ、一つだけ。」
顔を上げると、少し照れたように笑う橘さんがいた。
「仕事のお礼じゃなくて。」
心臓がうるさい。
「デートとして、ご飯に行ってもらえませんか。」
夕陽が店の中をオレンジ色に染める。
返事をしなきゃ。
そう思うのに、胸がいっぱいで言葉が出ない。
「……はい。」
やっとの思いで頷くと、橘さんが少しだけ嬉しそうに笑った。