フラワーリング


「あっ。」

同時にしゃがむ。

伸ばした手が重なった。

一瞬。

指先が触れる。

……違う。

今日は、触れただけじゃなかった。

そっと。

橘さんの指が、私の指に重なる。

絡まる指先に、思わず息をのむ。

「じゃあ、一つだけ。」

顔を上げると、少し照れたように笑う橘さんがいた。

「仕事のお礼じゃなくて。」

心臓がうるさい。

「デートとして、ご飯に行ってもらえませんか。」

夕陽が店の中をオレンジ色に染める。

返事をしなきゃ。

そう思うのに、胸がいっぱいで言葉が出ない。

「……はい。」

やっとの思いで頷くと、橘さんが少しだけ嬉しそうに笑った。

< 17 / 18 >

この作品をシェア

pagetop