煉瓦坂の少し奇妙なX'mas
 そんなわけで、閉店後。
「第1回店内会議です。誰かプレゼントのこと、話した人はいる? 怒らないから。俺も話すなと言わなかったし」
 吾郷君は早番だからいないけど、残った3人の店員も互いに顔を見合わせていた。
「公理さん、私たちは特に誰にも話していません。お店のお祝いって聞いてますし」
「本当に怒ってるわけじゃなくってさ。お客さんが入れてるならパーティに呼ばないわけにいかないじゃん。だから今後の対策しないとってだけなんだ。どの範囲の対策が必要かって。俺がポカったって思ってる、本当に。なんなら誰かわからないようにメモを残しといてくれてもいい」
 犯人捜しをしたいわけじゃない。プレゼントを入れてもらったら返さないといけない。……結局25日寝てらんないな、本音は面倒くさい。寝たい。
「あの……話したわけじゃないけど、心当たりはあります」
「え?」
 そういって見せられたのは店のSNSだった。ツリーの装飾を増やすたびに、毎日吾郷君が写真とってUPしてくれてるやつだ。
「これです。コメント欄」
ーツリーの下の袋はなんですか?
ーこれにプレゼント入れて25日にみんなに配る予定なんです。楽しみ~
 それで俺は青くなった。
 ……え、これって俺のレス?
「多分、これが原因じゃないかなぁ、と」
 みんな何とも言えない目で俺を見つめる。
「えっと、まって? え?」
「これを見て、袋にプレゼント入れたら参加できると勘違いしたお客さんがいれてるんじゃないかなぁ、と」
 やべ。えっと。
「まじで。犯人は俺、かぁ。みんな、ごめん」
「いえ、まあいつものことですし」
 慰めるようなみんなの微笑みが胸に刺さる。
 え、いつもってどういうこと?
 そんなわけでとりあえず何人くらいが入れているのか確認するために袋を開くことにした。……みんなの入れたもののほかに、10を超えるプレゼント。やばい、全然値段がわからない。
「このスノーボールって食べ物?」
「焼き菓子ですね、賞味期限は大丈夫そう」
「パワーストーンっていうのはいくら位なんだろ」
「開けてみないとわからないですねぇ」
 だいたいはそっとクリスマス包装だけはずして商品表示を見て中身を推測してみたけれど、さすがにいくつかまざってる手作り的な何かを安易に配るわけにはいかいから頭を抱えた。それで仕方なしに靴下袋に掲示を追加することにした。
『高価なもの、商品名のないものはお配りできません。お返ししますので店員にお伝えください』
 クリスマスまでもうすぐだ。SNSじゃなきゃこれ以上広がらないかと思ったけれど、俺は口コミというものをなめていた。ああ~。
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