傲慢すぎる警視に衛られて愛される

21話

朝の電車の中は程よい混み具合だった。

ドアの近くで女子高生がスマホを見ている。

耳にはワイヤレスイヤフォン。

スマホ画面に集中していた。

少し離れた場所に立つ40代くらいの男が、その女子高生をじろじろと見ていた。

男が女子高生の背後に回り、おしりを撫でる。

次の瞬間、男の腕を女子高生が後ろ手に掴んだ。


「っ!」


男が驚いて顔をあげると女子高生が向き直っていた。

ワイヤレスイヤフォンをしたまま、にやっと笑っている。

愛だった。

女子高生に変装していたのだ。

愛が腕をひねり上げる。


「いて! いぃぃぃ!!」


周りの乗客がさっと離れ、愛と男の周りに自然とスペースができた。

愛は男の腕を押さえ込んだまま、動かなかった。

次の瞬間、男の手首に冷たい金属が触れた。

手錠だった。

男が振り返ると迫田が立っていた。


「はい。現行犯逮捕」


迫田はいつも通り淡々と言った。

そのすぐあとに電車が駅に滑り込んだ。
< 163 / 164 >

この作品をシェア

pagetop