傲慢すぎる警視に衛られて愛される

5章

愛は大きく深呼吸した。

愛の話を最後まで誰も遮らず黙って聞いていた。

その間、真理恵はずっと愛の背中をさすっていた。

それが愛にとってありがたく、落ち着いて最後まで話すことができた。


「それで、その被害にあった女子高生が先程のニュースに出ていた子で」


鳴海が腕を組んで考え込んだ。


「でも、そうなると時間的に変ではないですか? 彼女が被害にあったのは8時15分。あなたから連絡が来てすぐです。市川澪さんはその時、警察にいたのでは」

「それは……」


愛の胸がざわっとした。


「こいつは、犯行前に盗撮を止めたんですよ」


愛は自分の組んでいる指に力を込めた。


「どういうことです? 山下さん」


愛は目を瞑り、息を吐いた。


「市川澪さんは盗撮に遭っていたことに気が付いていません」

「え?」


背中に置いてあった真理恵の手が止まる。

愛は鳴海を見て言った。


「犯人が盗撮する前に止めたんです。彼女は盗撮されたことに気が付いていません。私も声をかけていません。何事もなかったように彼女は電車を降りていきました」


鳴海はため息をついて腕をほどいた。


「なるほど。犯行を未然に防いだってことですね」

「なんで彼女を引き留めなかったの?」


真理恵が愛に質問した。


「わざわざ盗撮魔のターゲットになっていたことを言わなくてもいいかと思ったんです。恐怖心を与えるだけなので」

「でも、それでは盗撮魔は野放しでは?」

「動きでなんとなく常習犯だと思いました。それに電車の中に警察が何人もいて犯人は警察に見張られていたことを知り、常習犯だと思ったんです。まあ、それは後付けですけど」

「わかりました」


鳴海は目じりを指で押さえた。


「てか逢坂くんは、なんで知ってるの?」

「俺も同じ電車に乗ってたからな」

(そうだったんだ……)


愛は軽く情けない気持ちで笑みがこぼれた。
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