傲慢すぎる警視に守られて愛される
2章
ストーカー犯罪対策係では逢坂以外の全員が自席でパソコンに向かっていた。
静かな室内にノックの音が響く。
「どうぞ!」
真理恵がそう言うと愛が「遅くなりました!」と元気よく入ってきた。
みんな一斉に愛を見る。
逢坂はソファに寝ころびながら、ちらっと愛を横目で見ただけだが。
「遅くなり、申し訳ございません。本日付でこちらに異動になりました。山下愛と申します」
愛はドアの前で、にっこりと笑い頭を下げた。
昨日、散々ひとりで練習した挨拶だ。
愛は真顔でいると怖いという印象を抱かれることが多いので、第一印象をいつも失敗している。
今回は失敗したくないと友人のアドバイスを元に笑顔の挨拶の練習をしてきた。
親友の白川美雪には「あんたは、いつも眉間に皺が寄っている。あと人を見る視線がドラマでよく見る刑事の目よ」と指摘された。
(笑顔、うまく出来てるかしら)
期待の視線を室内に向けたが、みんなポカンとしていた。
少々、間があったあと、鳴海と真理恵が立ち上がり、愛をにこやかに出迎える。
竹下はコソコソと書類の影に隠れた。
「待っていたよ~いらっしゃい」
「私、花園真理恵、よろしくね。こっちは係長の鳴海さん、あそこで書類に埋もれているのが竹下くん」
書類に隠れた竹下の背中がビクッと動く。
「それと……」
真理恵が愛の腕を掴んで部屋の奥へ引っ張っていく。
ソファの前で立ち止まると愛の視界に資料を顔に乗せて寝ている人間が見えた。
「ちょっと」
真理恵が資料を持ち上げると目を瞑っていた逢坂の瞳が開かれる。
(うわっイケメン)
寝ててもわかる綺麗な顔に愛は言葉を失った。
「ちょっと起きて挨拶しなさいよ」
逢坂は気だるそうに身体を起こして座った。
「彼は逢坂くん」
(起き上がるとさらにイケメン……嘘でしょ、警察にこんな人がいるの?)
「これでも一応、警視」
「警視……え? 警視!?」
階級を聞いて、愛の背筋が伸びる。
「ああ、大丈夫。警視だけど名ばかり」
「おい」
逢坂が真理恵を睨んだ。
(声も素敵……)
「警視だから俺より階級は上なんだ」
鳴海が話に割って入ってくる。
「でもうちのリーダーは鳴海さん。逢坂くんは現場が好きなの」
「役職なんてうざってぇ」
「こんなんだから階級なんか、ここでは気にしなくていいよ。まあ、警察組織でそれは、なかなか難しいかもしれないけど」
愛は逢坂をじっと見つめたまま固まっている。
真理恵は愛の顔を覗き込んだ。
「どうしたの? 大丈夫?」
「え? あ、すみません! よろしくお願いします」
見惚れていた自分に我に返った愛は頭を下げた。
逢坂は何も言わず、愛をじっと見つめる。
「ちょっと! あんた何か言いなさいよ」
逢坂は立ち上がると、スタスタと部屋を出て行く。
「ごめんね、不愛想で。昨日、遅くまで仕事で、たぶん寝てないのよ」
「忙しい部署だとは聞いています」
「残念ながらまだ部にはなってなくて、係ね」
「あ、すみません」
「いえいえ。じゃあ、あっちの会議室に行きましょう。職務内容を説明するね」
「はい、ありがとうございます」
真理恵に連れられ、愛は部屋を出て行く。
逢坂はコーヒーを飲みながら、見えなくなるまで愛を見つめていた。
睨んでいたという言葉の方があっているのかも、しれない。
静かな室内にノックの音が響く。
「どうぞ!」
真理恵がそう言うと愛が「遅くなりました!」と元気よく入ってきた。
みんな一斉に愛を見る。
逢坂はソファに寝ころびながら、ちらっと愛を横目で見ただけだが。
「遅くなり、申し訳ございません。本日付でこちらに異動になりました。山下愛と申します」
愛はドアの前で、にっこりと笑い頭を下げた。
昨日、散々ひとりで練習した挨拶だ。
愛は真顔でいると怖いという印象を抱かれることが多いので、第一印象をいつも失敗している。
今回は失敗したくないと友人のアドバイスを元に笑顔の挨拶の練習をしてきた。
親友の白川美雪には「あんたは、いつも眉間に皺が寄っている。あと人を見る視線がドラマでよく見る刑事の目よ」と指摘された。
(笑顔、うまく出来てるかしら)
期待の視線を室内に向けたが、みんなポカンとしていた。
少々、間があったあと、鳴海と真理恵が立ち上がり、愛をにこやかに出迎える。
竹下はコソコソと書類の影に隠れた。
「待っていたよ~いらっしゃい」
「私、花園真理恵、よろしくね。こっちは係長の鳴海さん、あそこで書類に埋もれているのが竹下くん」
書類に隠れた竹下の背中がビクッと動く。
「それと……」
真理恵が愛の腕を掴んで部屋の奥へ引っ張っていく。
ソファの前で立ち止まると愛の視界に資料を顔に乗せて寝ている人間が見えた。
「ちょっと」
真理恵が資料を持ち上げると目を瞑っていた逢坂の瞳が開かれる。
(うわっイケメン)
寝ててもわかる綺麗な顔に愛は言葉を失った。
「ちょっと起きて挨拶しなさいよ」
逢坂は気だるそうに身体を起こして座った。
「彼は逢坂くん」
(起き上がるとさらにイケメン……嘘でしょ、警察にこんな人がいるの?)
「これでも一応、警視」
「警視……え? 警視!?」
階級を聞いて、愛の背筋が伸びる。
「ああ、大丈夫。警視だけど名ばかり」
「おい」
逢坂が真理恵を睨んだ。
(声も素敵……)
「警視だから俺より階級は上なんだ」
鳴海が話に割って入ってくる。
「でもうちのリーダーは鳴海さん。逢坂くんは現場が好きなの」
「役職なんてうざってぇ」
「こんなんだから階級なんか、ここでは気にしなくていいよ。まあ、警察組織でそれは、なかなか難しいかもしれないけど」
愛は逢坂をじっと見つめたまま固まっている。
真理恵は愛の顔を覗き込んだ。
「どうしたの? 大丈夫?」
「え? あ、すみません! よろしくお願いします」
見惚れていた自分に我に返った愛は頭を下げた。
逢坂は何も言わず、愛をじっと見つめる。
「ちょっと! あんた何か言いなさいよ」
逢坂は立ち上がると、スタスタと部屋を出て行く。
「ごめんね、不愛想で。昨日、遅くまで仕事で、たぶん寝てないのよ」
「忙しい部署だとは聞いています」
「残念ながらまだ部にはなってなくて、係ね」
「あ、すみません」
「いえいえ。じゃあ、あっちの会議室に行きましょう。職務内容を説明するね」
「はい、ありがとうございます」
真理恵に連れられ、愛は部屋を出て行く。
逢坂はコーヒーを飲みながら、見えなくなるまで愛を見つめていた。
睨んでいたという言葉の方があっているのかも、しれない。