傲慢すぎる警視に守られて愛される
山下家のリビングではテレビが付いていて、ワイドショーが映っていた。
愛の母、山下佳代子は料理をしていてテレビを見ていない。
部屋のドアが開く音がして、佳代子の手が止まった。
愛の姉、山下美憂が鞄を持って入ってきたのだ。
美憂は大きなマスクをしていて、化粧が濃い。
「あれ? 美憂、もう行くの?」
「うん、今日はなんか、アルバイトの人も全員集めて、会議があるんだって」
「なんだ~お昼ご飯、作っちゃった」
「ごめんね。夜、食べるから」
「遅くなる時はタクシー拾って帰って来るのよ」
美憂は目じりに皺を作って笑った。
「4時間勤務なんだから明るいうちに帰れるよ、行ってきまーす」
佳代子は玄関に向かう美憂に付いていく。
玄関で座って靴を履く美憂を佳代子は心配そうに見つめた。
美憂は気にも留めずに靴を履いている。
「なるべく人込みを歩くのよ」
「はいはい」
美憂は立ち上がり佳代子に向かい合う。
「お母さん、私が出かける度に心配してたら、身体、おかしくするよ」
「でも……」
「まったく外で働き始めたら、これなんだから」
「だって……」
「先生も言ってたでしょ、家の中にずっといるのはよくないって」
「そうだけど……やっぱり、今日もお母さんも一緒に行くわ」
「お母さん!」
美憂はまた目に皺を作る。
「お母さんも今日は仕事でしょ」
「そうだけど休めるし」
「もう何度、休んだ? クビになっちゃうよ」
佳代子は心配でたまらないという表情を隠しきれてはいなかったが笑顔を見せた。
「気を付けてね」
「はーい、行ってきます」
ドアがしまっても佳代子は玄関にしばらく立ち尽くしていた。
リビングではテレビが速報を伝えていた。
アナウンサーが報道フロアから緊急で知らせているようで、先ほどのワイドショーの雰囲気は一変している。
テレビ画面には『都内で女子高生が刺された』という内容で市川澪(いちかわみお)という名前と写真が表示されていた。
『女子高生は病院に搬送されましたが命に別状はありません。また犯人と思われる男は近くのビルから飛び降り死亡が確認されています』
愛の母、山下佳代子は料理をしていてテレビを見ていない。
部屋のドアが開く音がして、佳代子の手が止まった。
愛の姉、山下美憂が鞄を持って入ってきたのだ。
美憂は大きなマスクをしていて、化粧が濃い。
「あれ? 美憂、もう行くの?」
「うん、今日はなんか、アルバイトの人も全員集めて、会議があるんだって」
「なんだ~お昼ご飯、作っちゃった」
「ごめんね。夜、食べるから」
「遅くなる時はタクシー拾って帰って来るのよ」
美憂は目じりに皺を作って笑った。
「4時間勤務なんだから明るいうちに帰れるよ、行ってきまーす」
佳代子は玄関に向かう美憂に付いていく。
玄関で座って靴を履く美憂を佳代子は心配そうに見つめた。
美憂は気にも留めずに靴を履いている。
「なるべく人込みを歩くのよ」
「はいはい」
美憂は立ち上がり佳代子に向かい合う。
「お母さん、私が出かける度に心配してたら、身体、おかしくするよ」
「でも……」
「まったく外で働き始めたら、これなんだから」
「だって……」
「先生も言ってたでしょ、家の中にずっといるのはよくないって」
「そうだけど……やっぱり、今日もお母さんも一緒に行くわ」
「お母さん!」
美憂はまた目に皺を作る。
「お母さんも今日は仕事でしょ」
「そうだけど休めるし」
「もう何度、休んだ? クビになっちゃうよ」
佳代子は心配でたまらないという表情を隠しきれてはいなかったが笑顔を見せた。
「気を付けてね」
「はーい、行ってきます」
ドアがしまっても佳代子は玄関にしばらく立ち尽くしていた。
リビングではテレビが速報を伝えていた。
アナウンサーが報道フロアから緊急で知らせているようで、先ほどのワイドショーの雰囲気は一変している。
テレビ画面には『都内で女子高生が刺された』という内容で市川澪(いちかわみお)という名前と写真が表示されていた。
『女子高生は病院に搬送されましたが命に別状はありません。また犯人と思われる男は近くのビルから飛び降り死亡が確認されています』