傲慢すぎる警視に衛られて愛される
会議室では愛と真理恵、机を挟んで向かい合っていた。

愛がびっしりとメモを取ったノートにペンを置く。

同時に真理恵はパソコンをぱたんと閉じた。


「まあ、こんな感じかな。まだまだ始まったばかりだから手探りなんだけどね」

「期待の声が大きな係ですよね」


真理恵が苦笑いした。


「それはどうかな」


愛は不思議そうな表情で真理恵の言葉を待った。


「山下さんは、なんでここを希望したの?」


愛は自分が質問されるとは思わず、少し驚いた。


「……ストーカーで悩む女性を救いたいからです」


用意していた答えを伝える。


「そっか……じゃあ、まず1つ。ストーカーで悩んでいるのは女性だけではないわ」

「あ……そうですよね」

「さっきも言ったけど、基本的に被害者の話を聞くことが主な仕事。最初は私に付いて被害者の声を聞いてもらうわ。聞いて行けば、現状がわかると思う」

「現状?」

「うん。ストーカーの対策がかなり難しいということがすぐにわかると思う」

「難しいかもしれないですが、私は護りたい。被害者が苦しむ人生を歩んでほしくないです」

「そうね。それが理想よね」


理想という言葉が妙にちくりと愛の心に刺さった。


「あなたが誰を思い浮かべて言っているのか、わからないけど」


愛の指がぴくっと動く。


「私情は挟まないでね」


真理恵がまっすぐ愛を見つめる。


(私のこと調べてあるんだ……)


愛は真理恵のことを少し侮っていたことを反省した。


(彼女が知っているということは、みな知っている……私の事をきちんと調べて共有されている。私が『被害者を護りたい。被害者が苦しむ人生を歩んでほしくない』というのが建前の理由だということなんて、完全にバレている。私はそんなヒーローのような理由でここにいない)

愛「……はい」


愛はそう答えることしか出来なかった。

真理恵、にこっと優しく微笑む。


「じゃあ、席に案内するわね」


愛はノートとペンを震える手で鞄にしまった。
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