傲慢すぎる警視に守られて愛される
夕方になり、一息つこうと愛は給湯室でコーヒーメイカーに手を掛けようとしていた。
しかし手が止まる。
コーヒーメイカーの隣りに貯金箱があり、手書きで30円と書かれた紙が貼ってあったのだ。
真理恵が水筒を持って入ってくる。

「初日で疲れたでしょー」
「いえ」

真理恵が愛の手元をちらっと見る。

「あ、コーヒー飲むときは、30円払ってね」
「有料なんですね。小銭もってたかな」
「経費削減って上から言われてるのよ」
「そうなんですね」
「ちなみにまずいよ、そのコーヒー」
「え」

真理恵は水筒を見せた。

「私は持参してる」

そのまま水道で水筒を軽く洗っている。

「なるほど」
「たまに鳴海さんが『コーヒー奢ってやる』って言うんだけど、それだから」

真理恵、コーヒーメイカーを顎で指さす。

「ノーセンキューよ」

愛はおかしくて笑った。
真理恵は水筒を洗い終わると「じゃあ、私はこれで」と言った。

「もう帰るんですか?」
「私ね、時短勤務なの」

水筒に子供向けのキャラクターのシールが貼られているのが目に入り愛は納得する。

「お疲れ様~」
「お疲れ様です」

ひらひらと手を振って出て行った真理恵と入れ替わるようにして逢坂が入ってくる。
愛はなんとなく気まずいのでコーヒーを諦めて出て行こうとすると、「おい、女」と声をかけられた。

(女!? この人、今、私のこと、女って呼んだ!?)
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