傲慢すぎる警視に衛られて愛される
三浦健司は、想像していたより本当にずっと普通の男だった。

最初、三浦は少し警戒した様子だったが、早坂の声質というか、しゃべり方が安心を与えていることが愛にはすぐにわかった。


(早坂先生、すごいな)

「奈美さんのことを聞かせてもらえますか」


三浦の顔に力が入ったのが、わかった。


「……彼女のことが好きなんです」

「そうですか。どんなところが?」

「笑顔が……可愛くて」


三浦の声が、思いのほか穏やかだった。

愛は手の中のペンを強く握りしめた。


(この人が、奈美さんを怯えさせていた)

「別れを告げられた時、どう思いましたか」

「信じられなかった。だって、ずっと一緒にいたのに」

「悲しかった?」

「悲しいというか……なんで、って」

「彼女に何かしてしまいましたか、別れを告げられる前に」


三浦が少し間を置いた。


「……わからないんです。何がいけなかったのか」


愛は三浦を見つめた。


「彼女が怖いと感じていたことは、知っていましたか」

「怖い? 俺が?」


三浦が初めて、驚いた顔をした。


「……そんなつもりは、なかったんですが」

「そうですか」


早坂はそれだけ言って、ペンを走らせた。

愛は息を吐いた。


(そんなつもりはなかった)


その言葉が、胸の中でしこりのように残った。


(加害者は、自分が誰かを傷つけているとわからないのかもしれない)


愛には、それが一番、恐ろしかった。
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