無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
(えっと、傷薬はこれね。あとは挫傷の薬と、栄養剤もいるかしら)

 作業する背後で、男が服を脱ぐ衣擦れの音が微かにした。

「準備できた? じゃあ傷を──」

 リディアはくるりと振り返る。そして、男の姿を見てギョッとした。

「きゃーっ! 何やってるの? なんでそんな格好しているの⁉」

 思わず両目を自分の手で覆う。
 リディアの見間違えでなければ、男は一糸纏わぬ全裸だった。

「脱げと命じられたので脱いだ」
「全部脱げだなんて言っていないわよ! 傷口が見えるようにすればいいの! とにかく服を着て!」

 強い調子で言うと、男が服を着始める。後ろを向くと、再び背後から服を着る衣擦れの音が微かに聞こえてきた。

(従順なのはいいけど、従順過ぎない? 大丈夫なのこの子⁉)

 年齢はわからないが、少なくとも27歳のリディアよりは年下に見えた。おそらく22、3歳くらいだろうか。だが、仕草や行動からはもっと年下のようにも思える。

 しばらくすると、「着れた」と声がした。恐る恐る目を覆う手をどけると、男は上半身だけ脱いで下半身はズボンをはいた状態になっていた。
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