無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「ダリウス長官! 話を聞いてください。彼は第二王子に間違いありません。証拠もあります!」

 カーティスは負けずと言い返す。
 ダリウスはスッと目を細めた。

「……根拠とは?」
「王族に施される加護の痕跡です。私はかつて、側妃殿下のお腹にいた御子に加護を授けました。あの青年から、同じ魔力の残滓を感じました」
「記憶違いでしょう。もう、二十年以上前のことです」
「いいえ」

 カーティスは首を振る。

「私は、王族の加護を何人にも施したわけではありません。後にも先にも、側妃殿下の御子である第二王子殿下と第三王子殿下のふたりのみです。間違えるはずがありません。第三王子殿下はご健在ですので、彼は第二王子殿下です」

 ダリウスはゆっくり顔を上げた。
 黒い瞳が、カーティスを見据える。

「その青年は、第二王子を名乗ったのですか?」
「いえ。本人に自覚はありません。しかし、間違いないかと」
「話になりません。第二王子は亡くなりました」
「しかし、確認は必要です!」
「必要ありません」

 これまでダリウスから聞いたことのない、冷たい声だった。

< 147 / 221 >

この作品をシェア

pagetop