無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「ご報告がございます。先日の王宮魔術師採用試験で首席をとりながら辞退した青年についてです」

 ダリウスの指が、ぴくりと動く。

「続けてください」
「昨日、私はかの青年に会って参りました。その結果、彼は亡くなった第二王子である可能性が極めて高いと考えます」

 ダリウスは表情ひとつ変えず、カーティスを見据える。その反応に、カーティスは戸惑った。

(驚かないのか?)

 この報告をすれば誰もが驚くと思っていたので、予想外の反応だ。

「カーティスさん。あなたがそんなバカげたことを言い出すとは驚きです。いかなる魔法にも不可能なことがふたつあります。死者を生き返らせることと、時間を巻き戻すことです。これは魔法学校の1年生で習う、基本中の基本ですよ」

 ダリウスは静かに、カーティスを諭すように言う。

「しかし、年頃も性別も、見た目も第二王子と一致しています。確度は高いかと」
「見た目?」
「銀の髪に青い瞳でした」
 
 ダリウスははぁっと息を吐く。

「そこから間違っています。王宮魔術師採用試験を受けに来た青年はグレーの髪です。第二王子を騙るために染めたのでしょう」
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