無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「平民出身の君が、王族の血を見抜いたと本気で思っているのですか?」

 侮蔑を含んだ言葉だった。
 
 貴族出身者が圧倒的に多い魔法庁で身分の低さを理由にバカにされるのは慣れている。けれど、ダリウスからここまであからさまに侮辱されたのは始めてだった。


「なぜそんなことを? 出身は関係ありません。私は加護を施した本人です」
「いい加減にしてください。その加護は失敗したのですよ」

 その言葉に、カーティスは唇を引き結ぶ。

 第二王子は生後すぐに亡くなった。
 当時、加護が不完全だったからだと陰で囁かれていたことは知っている。

「とにかく、この件に関しては私が預かります。あなたはもう下がってください」
「しかし……」
「しつこいですよ」

 ダリウスの目が、鋭さを帯びる。

「下がれ」
「長官!」
「この件は私が預かる」
「ですが――」
「下がれと言っている」

 いつにない低い声は、それ以上は許さないと明確な拒絶を示していた。
 カーティスは拳を握り締める。

「……承知いたしました」

 頭を下げ、執務室を出る。
 扉が閉まった瞬間、カーティスは唇を噛む。

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