無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 きっと、握り潰される。
 そう直感した。

 カーティスの立場では、魔法庁長官のダリウスの行動を止めることは難しい。万が一指名手配でもされようものならば、レイは何もしていないのに犯罪者扱いされてしまうことになるだろう。

(どうすれば……)

 考え込んでいたそのとき、同僚の王宮魔導士が自身のフォシニを連れて歩いているのが目に入った。


   ◇ ◇ ◇


 カーティスがダリウスを尋ねた翌日のこと。
 リディアは落ち着かない朝を迎えていた。

 朝ご飯の卵をフライパンで焼きながらも、思い出すのは昨晩の出来事だ。
 触れ合った感触を思い出し、無意識に唇に触れる。

 深く強引なキスを思い出し、顔が熱くなるのを感じた。

(うわー! 私ったら何を想像して──)

 羞恥のあまり、手で顔を仰ぐ。
 キスなんて皮膚粘膜の一部が触れあっただけ! と割り切るには、リディアの男性経験は乏しすぎる。

(平静! 平静! 平静!!)

 必死に自分に言い聞かせていると、なんだか焦げ臭い。ハッとして手元を見ると、玉子焼きが焦げ始めていた。

「ああっ!」

< 150 / 221 >

この作品をシェア

pagetop