無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 そう思ったら、ずきっと胸の奥が痛んだ。

(あれ?)

 リディアは自分自身の反応に戸惑う。
 レイが私以外に興味を持つことはいいことのはずなのに、どうして胸が痛むのだろう。

 レイはリディアに対して時折、シリルが心配するほどの執着を見せる。リディア自身もレイが自分から離れたがらないことを心配していたので、もし別の女の子に興味を持ってくれたら願ったりだ。

 それなのに──。

 もやもやしたものが胸に広がるのを止められない。

(あー、もう! 私、変だわ)

 こういうときは、日常のルーチンに戻ったほうがいい。

「よし。朝ごはんを食べよう!」

 リディアはベッドから下りようとする。しかし、がっしりと回されたレイの腕が外れない。

「レイ、離して」
「んー、やだ」
「レイ!」
「……じゃあ、リディアがこっち向いてくれたら起きる」
「約束よ?」
「うん」

 少しだけレイの腕の力が緩む。リディアは上半身を捩ってレイのほうを見た。
 鼻先がくっつきそうな距離にレイの顔があり、ドキッと胸が跳ねる。

 レイの顔がさらに近づき、ふにっと唇と唇が重なる。触れるだけのキスだ。

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