無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
『ありがとう。アシュレイと名付けたの。よい名でしょう?』

 出産を終えたばかりの側妃は、ダリウスのほうを見て微笑む。
 赤ん坊はまだ焦点の合わない眼差しで周囲を見回している。青空のような、美しい水色の瞳だ。そして、透き通るような美しいシルバーブロンドは彼が間違いなく国王の血を引いている証拠だった。

(今夜、始末するか)

 今殺しては、ダリウスが疑われる。自分がいないときに、亡くなってもらわなければ困る。
 ダリウスは周囲の目を窺いつつ、アシュレイに魔法をかける。夜になれば彼の周囲の空気は薄くなり、間もなく死に至るだろう──。


「……ウス。ダリウス!」

 自分の名を呼ぶ声に、ダリウスはハッとする。
 気付けば、ルミナスが訝しげにダリウスを見つめていた。

「あなた今日、ぼんやりしすぎだわ。どうしたの?」
「大変失礼いたしました。どのように反逆者を捕らえるか、つい考え込んでしまい……」

 ダリウスは頭を下げる。

「まあ、いいわ。とにかく、その者が王族である可能性が高いなら、息子の脅威になるから始末しなければ」
「私にお任せください。王妃殿下」

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