無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
(なんか可愛い。年が離れた弟がいたらこんな感じなのかしら?)

 リディアには残念ながら兄しかいなかったので、新鮮に感じる。

「……ありがとう。ご主人様、俺は何をすればいい」
「んん?」

 聞き捨てならない台詞が聞こえ、リディアは眉をひそめる。

「その呼び方はやめて。私はご主人様じゃないし、あなたに何かしてほしいとも思っていないわ」
「でも、俺のことを買っただろ」
「だからって、そういう関係じゃないわよ。私たちは対等なの」

 リディアはきっぱりと言い切る。
 レイをフォシニにしたり、召使にしたくて買ったわけじゃない。そのことだけはしっかりと理解してほしかった。

「じゃあ、なんて呼べばいい?」

 レイは、少しだけ困ったように言う。

「私の名前はリディアよ」
「リディア」
「そう。リディアって呼んで」
「……うん」

 素直に頷く姿が、やっぱりかわいく見える。
 リディアは思わずレイの黒髪に手を伸ばし、頭をなでる。
 その瞬間、レイの目が驚いたように大きく見開かれた。

「あ、ごめん!」

 リディアは慌てて手を引く。
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