無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「そうと決まれば、名前が必要ね。本当に名前はないの?」
「……十八番」
「だから、それは名前じゃないわ!」

 リディアはこめかみを抑える。

「商品番号なんでしょうけど……人に番号をつけるなんて、本当に最低ね」

 奴隷商に対して、改めて嫌悪感を覚えた。

「じゃあ、私がつける。それでいい?」

 男はこくりと頷く。

「そうだなあ……」

 どんな名前がいいだろうか。
 一般的に、名前は親が子供に贈る最初のプレゼントだと言われる。多くの親はわが子が幸せな人生を歩めるようにと願いを込めて、名前を考えるのだ。

「レイ」
「……レイ?」
「ええ。光の筋って意味」

 リディアは彼をまっすぐ見つめる。

「あなたは一人の人間なの。だから、名前くらい、ちゃんとしたのを持たないと。あなたの生きる道が、光の筋のようにまっすぐで輝いたものでありますようにって願いを込めたわ」

 にこりと微笑むと、男改めレイは、自分の名前を反芻するようにもう一度呟いた。

「……レイ」
「どう? 気に入った?」
「ああ、とても」

 レイは嬉しそうに微笑む。その笑顔がとても可愛く見えた。

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