無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
8.あなたと一緒に
8.あなたと一緒に


 町の外れにある古びた宿屋。
 その一室で、リディアは不安げに外を覗いていた。

(今のところ、レイを追ってくる人はいなさそうね)

 ひとまずここは安全だと思い、ほっとする。
 そして、また別の不安が込み上げてきた。

(師匠が王宮に向かったとはいえ、レイが反逆者じゃないって説得できなかったらどうなるんだろう?)

 薬屋として薬を卸しながら生活しているリディアは、決して生活にゆとりがあるわけではない。働かなくても一カ月位はなんとかしのげるが、その先は食べる物にも困るだろう。

(どうしよう……)

 色々なことを考えてしまい、どんどん不安になる。
 そのとき、背後からぎゅっと抱きしめられた。レイだ。

「レイ。どうしたの?」

 リディアは身を捩って、レイを見上げる。

「リディアの元気がないから、大丈夫かなって思って」

 意外な言葉に、リディアは目を丸くする。レイは心配そうにリディアの顔を見つめていた。

(レイに心配かけちゃうなんて……)

 自分のほうが年上なのに。こんなことではだめだと、リディアは自分自身を叱咤する。

「なーに。気のせいだよ」

 リディアは努めて明るく笑う。けれど、レイは心配そうな顔をしたままだ。

「リディア。俺の前では、無理に強がらないで」

 レイの腕に力が籠る。
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