無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 たったそれだけのことなのに、胸が震えた。

(そっか。レイは私のこと、すごくよく見てくれているんだね)

 無能魔女と周囲から陰口を言われていたリディアは、辛いことがあっても笑ってやり過ごすことに慣れていた。能天気でバカな女と周囲には思われていただろう。けれど、内心は辛かったし、悲しかった。
 それでもいつも仮面を被って、何事もなかったように過ごしてきたのだ。

 けれど、レイはリディアのちょっとした変化に気付いてこうして心配してくれる。
 シリル以外に頼る存在がいなかったリディアにとって、初めてのことだ。

「うん、ごめんね。これからどうなるんだろうって、ちょっと不安になっちゃって……」

 リディアが俯くと、レイはきゅっと口元を引き結ぶ。そして、リディアと目線が合う位置まで体を屈めた。

「リディア、絶対に大丈夫だから。リディアの世界は俺が守るよ。リディアのためなら、なんだってしてあげる」
「レイ……」

 追われているのはレイであり、彼のほうがリディアの何倍も不安なはず。それなのにこうして自分を励ましてくれることに、胸がぎゅっと掴まれたような気持ちになる。

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