無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「すごい……」

 体が軽くなり、ひと飛びで数十メートル進んでゆく。

「逃げるぞ! 追え!」

 追っ手の魔法使い達が叫ぶのが聞こえた。
 追っ手のひとりが、同じく浮遊魔法で接近する。

「貴様! 王族を騙る反逆の疑いにより、同行を命じる!」
「はあ? 王族を騙ったことなんて、一度もないんだけど?」

 レイは不機嫌そうにその男を見ると、リディアを片腕でしっかりと抱きしめてもう片手を振る。「ぎゃっ!」と悲鳴を上げて男は地面へと落ちて行った。
 しばらく逃げ続け、ようやく追っ手がいなくなったのを確認したレイが地上に降りる。

 リディアを卸したレイは、ふうっと息を吐いた。



 リディア達が降りた場所は、王都の外れから広がる森の中だ。周囲に道らしき道もない。

(ここからどうしよう)

 さっきの襲撃でよくわかった。王都に絶対安全な場所など、きっとない。
 これからの生活を考えると、不安で押し潰されそうだ。

「……リディア。このままじゃ、きりがない。俺、やっぱり一旦王宮に行くよ」
「え?」

 リディアは驚いて、レイを見返す。レイは、静かな目でリディアを見つめていた。

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