無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 リディアがイマン薬店に到着したのは、午後二時を少し過ぎた頃だった。一番客入りのある時間なので迷惑になるかと心配し、ドアについた小窓越しにそっと中を覗く。

(あれ? お客さんがいない?)

 普段なら常にニ、三人はいるのに、珍しいこともあるものだ。
 リディアは今のうちに挨拶を済ませようと、ドアを開けた。

「こんにちは!」

 元気よく、店内に向かって声をかける。しかし、返事はない。

「いないのかな……。イマンさーん!」

 リディアは店内を見回す。普段と何ら変わりないよう巣なのに、客はおろかイマンの姿も見当たらない。

「どうしたんだろう。どっか出かけているのかな?」

 リディアは一緒にいるレイに話しかける。一方のレイは、険しい表情で店内を見回していた。

「リディア。ここは出よう。嫌な予感がする。魔力の残跡を感じる」
「え? どういうこと?」

 すぐにはレイの言う意味が分からず、リディアは聞き返す。
 そのとき、ヴィーンと鈍い音がしてカウンターに一枚の紙が現れる。

「これ、何?」

 リディアは恐る恐るその紙を手に取る。そして、そこに書いてある内容を見て息を呑んだ。

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