無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 リディアはくすくすと笑う。

「本当だよ。ふたりで違う町に行って、一緒に暮らそう」
「それもいいかもね」

 国から追われる立場での、逃亡生活。きっと、大変なことも多いだろう。
 けれど、不思議とレイと一緒ならなんとかやっていける気がした。

「……町を出るその前に、お世話になったイマンさんにご挨拶をしてもいいかな? 師匠にはこっそり会いに来れると思うんだけど、イマンさんにはもう会えなくなると思うから」

 イマンの薬屋が薬を買い取ってくれるからこそ、リディアは自分で生活をすることができた。彼女に何も言わずに町を去るのは、不義理なようで気が引けた。
 それに、イマン自身もリディアの納品する薬を少なからず頼りにしているはずなので、ある日突然納品がストップしたら困るはずだ。

「わかった。じゃあ、イマン薬店に行こう」
「うん。レイはちゃんとフード被ってね」

 リディアはレイの着ている上着のフードを被せてやる。完全に銀色の髪を隠すことはできないが、目立たなくはなるはずだ。

「うん」

 素直に頷いていうことを聞く姿が、たまらなく可愛く見えた。



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