無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
2.リディアとレイの共同生活
2.リディアとレイの共同生活


 レイとリディアの共同生活は、意外なほど穏やかに始まった。
 レイは初日こそ何をするにもリディアの様子を窺い、まるで拾われてきたばかりの野良猫のようだった。しかし、三日もするとリディアの日常のルーチンを理解し始めたようで、近くに寄ってきては家事を手伝ってくれたり、薬の調合の様子をじっと眺めたりするようになった。
 
 洗濯も掃除も、教えればすぐにこなす。薪割りなどは、リディアよりよほど手際が良かった。

「……レイは、ずっとフォシニとして生きてきたの?」
「うん」
「いつから?」
「わかんない。生まれたときから?」

 洗い終えた洗濯物を一緒に干しながら、レイはあっさり答える。
 物心つく前からフォシニだったということは、きっと親に売られたのだろう。
 
「逃げ出そうと思わなかったの?」
「思ったよ。でも、途中で捕まってぼこぼこに殴られた。さすがに死ぬかもって思ったことも、何度かあるかな」
「……そう」
 
 そんなにもつらい経験をあまりにも淡々とした口調で話すので、返す言葉が見つからない。
 
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