無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 引っ越そうと思っているのは本当だ。この家には、レイとの思い出がありすぎて、ひとりになったときに辛くなってしまいそうな気がしたから。

 そのとき、来客を知らせるベルが鳴る。
 リディアは立ち上がると入口に向かい、小窓から外を見た。

(魔法庁の方?)

 玄関前には以前も会ったことのある、見覚えのある魔法庁所属の王宮魔術師がいた。
 リディアは鍵を開け、ドアを開ける。

「リディアさん、こんにちは」
「こんにちは」

 リディアは戸惑いつつも挨拶を返す。王宮魔術師は人懐っこい笑みを浮かべ、リディアの前に封筒を差し出した。

「これは?」
「王宮への召喚状です。国王陛下が是非リディアさんにお会いしたいと」
「私に? なんでですか?」

 リディアは呼ばれる心当たりがなく、戸惑った。
 レイのほうをちらっと見ると、ふいっと目を逸らされる。

(……もしかして、レイをフォシニにしたから怒られる?)

 実際には、最初の日以外全く魔力は貰っていない。しかし、レイの体にリディアが付けたフォシニの刻印があるのは疑いようのない事実だ。

 リディアはさーっと青ざめる。

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