無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 グリーン子爵家の令嬢であり、まだほんの子供のときに決まった、セドリックの婚約者。一目見たときからセドリックは彼女のことを気に入っていた。

 くりっとした大きな瞳に、さらさらの茶色い髪。色白で頬はほんのりとピンク色に色づいた、快活で愛らしい少女。
 明るく笑う彼女を見たときに、思った。

 ──この子を完全に屈服させ、自分の支配下に置きたいと。

 だが、気の強いリディアはなかなかおとなしくセドリックの言うことを聞かないどころか、生意気にもときには彼に諫言してきた。
 だから、セドリックはグリーン子爵と一緒に彼女の自尊心を傷付けることにした。自分など取るに足らない人間だと思わせ、セドリックなしでは生きられないと洗脳するためにだ。 

 リディアがグリーン子爵に勘当されたときは、喜びで胸が震えた。追い詰められたリディアはセドリックしか頼る人間がおらず、彼が婚約破棄を申し出たらなんでもするから捨てないでくれと泣いて縋ってくるに違いないと確信していた。
 
 ところがだ。
 リディアはセドリックの婚約破棄の言葉を聞いても表情すら変えず、あっさりと彼の元を去っていった。

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