無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 フォシニを力一杯蹴り飛ばす。彼は人形のように転がり、ぴくぴくと痙攣した。

「この能無しが」

 酒でも飲もうかと召使を呼ぶために手を振る。しかし、何も起こらなかった。

「くそっ、魔力切れか」

 セドリックはチッと舌打ちする。
 床に転がるフォシニの服をまさぐると、刻印に手を当てる。しかし、魔力は一切供給されてこない。

「なんだ。死んだのか」

 フォシニが死んでは、魔力を供給することはできない。セドリックは動かなくなったフォシニの体を蹴飛ばす。

 この世には三種類の人間がいる。
 魔法使いの素質を持ち魔力を利用して魔法を使うもの、体内に魔力の核を持ち魔力を作り出すもの、そして、そのどちらでもないものだ。
 セドリックはこのうち、〝魔法を使うもの〟に該当する。魔法使いの素質を持つ人間は全体の一割にも満たない。そのため、国は魔法使いの才能を存分に発揮できるよう、魔法使いが魔力を作り出すものを従えることができる〝フォシニ〟という制度を作った。

「フォシニと言えば、あの男は邪魔だな。始末するか」

 リディアに寄り添う若い男の姿を思いだし、また苛立ちを感じる。

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