無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 リディアはノックしてから、そっとドアを開ける。

 レイは布団に絡まりながら、規則正しい寝息を立てていた。

「レイ、起きて」
「んー」
「もうすぐお昼よ? ご飯できたから、一緒に食べようよ」
「……うん」

 まだ寝ぼけまなこのようで、レイの返事は緩慢だ。
 布団を剥ごうと手を伸ばすと、逆に腕をグイッと引かれてリディアはバランスを崩す。

「ちょっ!」
「リディア大好き」

 レイはぎゅうっとリディアを抱きしめる。

「こらこら! 寝ぼけてないで」
「寝ぼけてないもん」
「寝ぼけている人は寝ぼけてないって言うの!」

 リディアが叫ぶと、レイはくすくすと楽しそうに笑いながら髪の毛をかき上げる。その仕草が妙に色っぽく見えて、リディアはとっさに目を逸らした。

(うー。心臓に悪い)

 子供のようにあどけないと思えば、時々驚くような色気を放つ。

(駄目だわ、私。弟みたいな存在のレイにドキッとするなんて)

 リディアは自己嫌悪に陥りながらも、レイの体をグイッと押しのける。その際、彼の服が汚れているのに気づきおやっと思った。

「レイ。服が汚れているわ。夜、外に出かけたの?」
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