無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~

「リディアか。しばらくぶりだな」

 シリルは口元に笑みを浮かべる。
 こげ茶色の髪を後ろで結び、リディアを見つめる目も茶色。既に年齢は四十歳近いはずだが、引き締まった体躯で年齢よりも若く快活そうに見える。いわゆる、イケオジというやつだ。

「はい。最近生活がバタバタしてて。ようやく落ち着いてきたのでご挨拶に来ました。それに、師匠に相談したいことがあって」
「相談したいこと? なんだい?」
「フォシニの刻印を消す方法って、ないですか?」

 リディアの質問に、シリルは目を眇めた。

 シリルは平民でありながら優れた魔法の才能を持っていたおかげで王宮魔術師にまでなった。しかし、選民思想の強い貴族社会でいわれのない差別を多々受け、また、フォシニという奴隷制度に彼もまた疑問を持ち、自らその職を辞した。
 今は〝町の魔法使い〟として、なんでも屋のようなことをしている異色の経歴の持ち主だ。

 そんな彼であれば、もしかしたらレイのフォシニの刻印を消すこともできるのではないかと思ったのだ。


「なぜそんなことを聞く?」
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