無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 さらに良くないことに、魔獣は魔力の持つ別の生き物を捕食する。そしてその中には、魔力を持つ人間も含まれていた。

(今魔獣に遭遇したら、真っ先にレイが襲われる!)

 当の本人であるレイは状況を理解していないようで、のんびりとして逃げ惑う人々を眺めている。

「レイ! 逃げるわよ!」
「え、なんで?」

 リディアは慌ててレイの手を掴むと、逃げる人々と一緒に走り出す。
 そのときだ。背後から、「誰か助けて!」という女性の叫び声がした。

 ハッとして、リディアは振り返る。
 大型犬くらいの魔獣に子供が襲われそうになっており、母親が必死に抵抗していた。

(あの子、魔力持ちなの?)

 数匹の魔獣が集まっているところを見るに、そうだとしか思えない。

(助けないと!)

 考えるより先に体が動いていた。

「レイ、ごめん! 先に逃げて!」
「リディア⁉」

 リディアはレイの手を離すと、まっすぐに子供のほうに走り出す。あのサイズなら、まだ幼獣だ。なんとか助け出すこともできるかもしれない。

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