無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「……私は、どこにも行かないわよ。だから、安心して」

 いつかはリディアもここを去る日が来るかもしれない。けれど、少なくともレイが自立するまではいるつもりだ。

「とにかく、レイは何も心配しなくて大丈夫」
「……うん」
「そろそろ離してくれる?」
「やだ」
「レ・イ!」

 語気を強めると、レイの腕の力が緩む。

 この甘えん坊でさみしがり屋なところは、いったいいつになったら治るのだろう。
 リディアはようやく解放され、ふうっと息をつく。

「ところで、レイ。さっきの人に見覚えはある?」
「ううん」

 レイは首を横に振る。

「正面からはっきり見たわけじゃないけど、会ったことない人だと思う」
「そう……」

 リディアは考え込む。

(あの人、レイがフォシニってことや、私の名前も知ってた。どうやって調べたの?)

 リディアが若い男を囲っているという噂が流れているのは知っているが、それがフォシニであることは誰にも言っていない。シリルが誰かに言うとも思えない。
 ならどこから……と考え、ひとつの可能性に思い当たる。

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