無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 こんなに大きな体で、あんなに強力な魔法を使うのに、リディアの前でだけはレイは子供のようだ。

「リディア」
「なに?」
「俺、これからもここにいていいんだよね?」
「もちろん」
「……ずっと?」

 リディアは返事に迷う。

 ずっと、なんて簡単に言える言葉ではない。
 レイはいつか自立してリディアの元を去るのだから。

 リディアは少し考えてから、言葉を紡ぐ。

「あなたがここにいたいと思うあいだは」

 レイは満足げに微笑むと、リディアをぎゅっと抱きしめる。

「リディア、ずっと一緒にいようね。離れるなんて、絶対に許さない」

 耳元でささやかれる。

 その声は穏やかなのに、リディアが拒むことを許さないような響きをはらんでいた。
 リディアはこくんと唾を呑む。

「……レイ。そういう言い方は、ちょっと怖いわ」
「俺のこと怖くないって言ってた」
「レイのことは怖くないわ。言い方の問題。まるで、どこにも行かせないって言ってるみたい」

 リディアが苦笑すると、レイは不満げな顔をする。

「そうだよ。リディアがいなくなるほうが、俺は怖いもん」
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