無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 シリルはすぐにリディアに気づき、近づいてくる。

「昨日、大丈夫だったか? リディアが帰った少しあとに魔獣が出たって。どっかの魔法使いが対峙したらしいが──」
「はい、なんとか大丈夫でした」

 そのことについても話したいが、リディアはまずは心配させないようにとへらっと笑う。シリルはホッとしたように、リディアの頭を撫でた。

「……男? リディアに触った……」

 聞こえるか聞こえないかという小さな声で、レイが低い声で呟くのが聞こえた。
 シリルはリディアの背後にいるレイに目を向ける。

「そいつが、例のフォシニか?」
「はい。レイって言う名前です。レイ、こちらは私の師匠のシリル・ドレイク先生。ずっと昔からお世話になっているの」

 リディアはレイに、シリルのことを紹介する。
 グリーン子爵から勘当されたあともこうして無事に生きてこられたのは、シリルのおかげだと言っても過言ではない。行く宛がなく途方に暮れるリディアに手を差し伸べ、屋根のある住処を提供し、薬師として独り立ちできるまで面倒をみてくれたのだから。

「……へえ、そう」

 レイはなぜか、不機嫌そうに返事する。

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