無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「シリル・ドレイクだ。よろしくな」

 シリルがレイに片手を差し出す。レイはその手をちらっと見たが、すぐにぷいっと目を逸らした。
 思いがけない態度に、シリルが目を丸くする。一方、慌てたのはリディアだ。

「レイ⁉ なんて態度なの! 私の師匠なのに!」
「俺はこんなおっさんに会いたいなんて、一言も言ってない」
「レイ!」

 口論になりそうになったリディアとレイの空気を変えたのは、豪快な笑い声だ。シリルが二人を見ながら、大笑いしている。

「リディア、これはなかなか手の焼ける坊やを買ったな」
「坊やじゃない!」
「そうなのか? あんまりにも態度が幼いからてっきり十代かと思ったが……お前何歳だ?」

 シリルがレイに尋ねる。すると、レイは口ごもった。

「……知らない。生まれた年も、誕生日も」

 ずきっと胸が痛む。
 物心つく前に売られたレイが自分の歳を知らなくても無理はないし、誕生日など知る由もない。

「……レイ。実はね、師匠にはお願いがあってレイをここに連れてきたの。レイのフォシニの刻印、消さない?」

 リディアはレイに問いかける。レイは驚いたような顔をした。

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