無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「ほう。かなりしっかり入っているな」

 シリルはまじまじとその刻印を観察する。刺青のように見えるが、実際は刺青ではなく、魔力を使って刻んだ消えない痣だ。
 
「消せそうですか?」
「おそらく。まあ、見てろ」

 シリルはにやっと笑うと、レイの刻印に手をかざす。
 なにやらぶつぶつと呪文を唱え始めた。

(師匠がいてくれてよかった)

 リディアは心から思う。

 平民にもかかわらず王宮魔術師にまで上り詰めたシリルは、一言で言うと『努力する天才』だ。魔法の才能に溢れながら、常に努力も怠らない。一時期はあの天才魔術師と誉れ高いダリウス・クロウウェルに迫る勢いだったと聞いたことがある。
 しかし、結局はダリウスの圧倒的な才能を前にシリルは己の限界を悟った。そして、紆余曲折を経て町のなんでも屋になったのだ。

 だから、シリルの魔法の能力はこの国で五本の指に入るレベルであると言っても過言ではないのだ。

「よし。どうだ?」

 時間にして十分ほどだろうか。
 シリルが印紋にかざしていた手を外す。リディアは顔を近づけて覗き込む。

「わ、すごい! 薄くなってる!」

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