君が照らす人生は、いつだって温かい
「バンドもさ。文化祭で一回きりになるかもしれないし、もしかしたら卒業まで続くかもしれない」
春日井先輩は、少し肩をすくめる。
「どっちにしても、〝やった〟って事実は残る」
『やった』という言葉が、
やけにまぶしく感じられた。
「山谷さんが〝歌いたい〟って思う気持ち、その先に何があるかは、やってみないと分かんないよ」
まっすぐな目で、そう言われる。
怖さは消えない。
でも、
『怖いからやめておく』という選択をしたら、
この先の自分の顔が、なんとなく想像できる。
あの冬の夜、
欄干の向こうを選びかけた自分と、同じ顔。
「……お母さんに、なんて言おう」
ぽろっと、本音がこぼれた。
「バンドやる、って?」
「はい。今まで、〝ちゃんとした部活や習い事〟も続かなかったし。〝また途中でやめるんじゃないの〟って思われそうで」
義母の顔が、頭に浮かぶ。
トランペットを吹いていたという人。
『怖いけど気持ちいい』と笑っていた人。
あの人に、
『バンドをやりたい』なんて言ったら、
どう思うだろう。