君が照らす人生は、いつだって温かい



「え?」



「歩実が、〝絶対やめません!〟って胸張って言ったら、それはそれで心配だったから」



拍子抜けする。



「〝途中でやめない〟って、未来の自分を縛る言葉だからね。言った瞬間、〝やめたくなったときに自分を責める材料〟にもなる」



その言葉は、
自分自身の経験から出ているように聞こえた。



「じゃあ、どうすればいいの」



「うーん」



義母は、少し考えてから言う。



「〝文化祭まではやりきる〟って約束なら、できる?」



範囲が、少しだけ具体的になった。



「文化祭までは、絶対やめない。そこまで全力でやってみて、その先どうするかは、そのとき考える」



それなら、たぶん。

怖いけれど、
全く無理な約束でもない気がした。



「……それなら、できるかも」



「〝かも〟じゃなくて?」



「できる。文化祭までは、ちゃんとやってみる」



言い切った瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなった。



「よし」



義母は、小さく手を叩く。



「じゃあ、その約束で認めます」



「いいの?」



「うん。ただし」



ほんの少しだけ、目つきを鋭くする。



「〝勉強サボってバンドやります〟みたいなバランスの悪いことはしないこと。勉強も、最低限はちゃんとやること」



「最低限って」



「定期テストで赤点取らないくらい」



妙に具体的な基準だった。



「あともう一個」



義母は、指を一本立てる。
< 111 / 200 >

この作品をシェア

pagetop