君が照らす人生は、いつだって温かい
第十四章

1番の理解者


体育館は、いつもより少し暗かった。

バスケットゴールの向こうに、
仮設のステージ。

色あせた赤い幕。

天井からぶら下がる、
手作りの『文化祭ステージ』の横断幕。

ライトが何本か、
本番前のリハーサルでゆらゆらと角度を変えている。



「いよいよだな」



袖でストレッチをしながら、
春日井先輩がつぶやいた。



「胃が痛い」



瑠奈が、ベースを抱えたままお腹をさする。



「痛くても、ベースは持ってて」



「腹巻きベースにする」



「なにそれ」



美由紀さんが、
ドラムスティックで瑠奈の背中を軽くつつく。



「歩実ちゃんは?」



名前を呼ばれて、自分の手のひらを見る。

マイクを握る右手が、いつもより少し汗ばんでいた。



「……怖い。でも、逃げるという選択肢はない」



「名言出た」



春日井先輩が、にやっと笑う。



「じゃ、怖くても逃げない人たちの音、出しに行きますか」



顧問の先生が、袖から顔を出す。



「次、春日井たちのバンドな。準備いいか?」



「はい!」



声だけは、大きく返した。
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