君が照らす人生は、いつだって温かい
◇
数日後。
山谷さんが、また病室に来た。
ノックの音で、心臓が一瞬だけ跳ねる。
「どうぞ」
声が、少し上ずった。
カーテンの隙間から顔を出した彼女は、
いつもより少し緊張した顔をしていた。
「おじゃまします」
「ようこそ、俺の別荘へ」
「別荘……?」
「ここが今の俺の別荘」
軽口で空気を和ませようとした。
彼女は、くすっと笑う。
それだけで、ここが病院じゃない気がした。
「リハビリ、順調ですか」
「まあ、それなりに」
そう答えたところで、
例の診断のことを思い出す。
胸の奥が、じわっと重くなる。
「先生に、なんて言われたんですか」
まっすぐな目で聞かれて、一瞬、言葉に詰まる。
『大丈夫』とだけ言ってしまいたかった。
彼女を心配させたくなかった。
でも、それはあの日、
自分が一番嫌った『なんでもない』の嘘と同じだ。
「……最後の大会、厳しいって」
ようやく絞り出した言葉は、それだけだった。
「最後の大会、って」
「インターハイ予選。たぶん、間に合わないほうがいいって」
淡々と説明しようとする。
「無理して出たら、また靭帯やるかもしれないって」
口に出した瞬間、
その現実が本当に自分に降りかかっているものなんだと、
改めて突きつけられた。