君が照らす人生は、いつだって温かい



数日後。

山谷さんが、また病室に来た。

ノックの音で、心臓が一瞬だけ跳ねる。



「どうぞ」



声が、少し上ずった。

カーテンの隙間から顔を出した彼女は、
いつもより少し緊張した顔をしていた。



「おじゃまします」



「ようこそ、俺の別荘へ」



「別荘……?」



「ここが今の俺の別荘」



軽口で空気を和ませようとした。

彼女は、くすっと笑う。

それだけで、ここが病院じゃない気がした。



「リハビリ、順調ですか」



「まあ、それなりに」



そう答えたところで、
例の診断のことを思い出す。

胸の奥が、じわっと重くなる。



「先生に、なんて言われたんですか」



まっすぐな目で聞かれて、一瞬、言葉に詰まる。

『大丈夫』とだけ言ってしまいたかった。

彼女を心配させたくなかった。

でも、それはあの日、
自分が一番嫌った『なんでもない』の嘘と同じだ。



「……最後の大会、厳しいって」



ようやく絞り出した言葉は、それだけだった。



「最後の大会、って」



「インターハイ予選。たぶん、間に合わないほうがいいって」



淡々と説明しようとする。



「無理して出たら、また靭帯やるかもしれないって」



口に出した瞬間、
その現実が本当に自分に降りかかっているものなんだと、
改めて突きつけられた。
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