君が照らす人生は、いつだって温かい
第九章
俺と
夏が始まる音がしてきた。
校庭のひまわり畑が若い葉で光を透かし、
風鈴の音が響き渡る。
それでも、朝の風はまだ少し冷たかった。
昇降口で靴を履き替えながら、
私は廊下の向こうをなんとなく見てしまう。
今日も、まだ来ないかもしれない。
来ないかもしれないけれど、
もし、ひょっとしたら。
「山谷さん」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
階段のほうから、
松葉杖の小さな音が近づいてきた。
カツン、カツン。
左足にサポーター。
右足に体重を預けるみたいに、
一歩ずつ。
春日井先輩が、そこにいた。
「……おはようございます」
いつもより、
少し固い声になってしまう。
あの日の病室で投げつけられた言葉が、
まだ胸の奥に残っていた。
「おはよう」
春日井先輩は、
息を少しだけ整えながら笑った。
松葉杖の先が、廊下の床を小さく鳴らす。
「やっと、正式に〝歩く人間〟に復帰しました」
「おめでとうございます」
「ありがとう」
言葉だけ聞けば、いつも通りだ。
でも、間に一枚、
透明な板が挟まっているみたいなぎこちなさがあった。
春日井先輩も、
それを分かっているのだろう。
少しだけ真面目な顔になって、
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