台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―



「俺、料理ってあんまりしたことなくてさ。
包丁触るのも、マジでいつぶりかわかんないかも」

隣に並ぶ紫苑がピーマンを一つ手に取って、困り顔でそれを眺める。

ネイビーのカフェエプロンを羽織る王子顔のイケメンを前に、ここはお洒落なカフェかと錯覚しそうになる。


そのくらいキッチンに立つ様が馴染んでるくせに、料理ダメとか何狙いのギャップなの?


「へー、そうなんだぁ。紫苑くんにも苦手なことってあるんだね」

「あるある。むしろない人なんていないでしょ」


ちょっと屈んで下から見上げてみたのに、動じない。

伏し目がちに微笑む余裕そうな顔は、やっぱり強くて内心ぐぬぬと歯噛みした。


「えー。じゃああと何が苦手?
あっお野菜はどう?ピーマン食べれる?タマネギは?」

「なんか子供扱いしてない?食べれるって。
野菜好きだよ」


両手に野菜を持って、紫苑とぐっと迫る。

屈託なく笑いながら、目の前に突きつけた野菜から逃れるように紫苑は顔を逸らす。


――うん、結構楽しくいちゃつけてない?

さりげなくテラスの方を盗み見る。


説明書を手にした美玲が、ちゃんとこっちを見て複雑そうな顔をしていた。

……しっかりカメラに抜かれながら。

< 101 / 166 >

この作品をシェア

pagetop