台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
至近距離で彩加の痛い視線まで浴びながら、ひとしきり戯れあったところで野菜をカゴに戻す。
「じゃあさ、瑠奈が野菜切るから。
それ、紫苑くんがあとで食べてくれる?」
紫苑の手からピーマンを奪い取って、まな板の上に置かれていた包丁を握る。
「ん?……うん、わかった」
素直に笑顔で頷く紫苑。
ここで私が手際のいいとこを見せられれば、アピール成功風な絵になると思うんだけど――……
紫苑の手の温度が乗ったピーマンを、まな板の上に転がす。
包丁をピーマンの上にかざしたあたりで、手が止まった。
「……」
「……どうかした?」
「ううんっなんでもない♡」
真後ろから不思議そうに私の手元を覗く紫苑に、にっこりと明るい笑顔を返す。
けれど、内心思考停止状態。
――野菜って、どうやって切るの?